<タオバオ代行>新興国経済の成長減速や最近の通貨・資産価格の急落によって「円建て資産」の相対価値が上昇しており、高成長期待から新興国に流入していた投資マネーが「質」や「安全」を求めて日本に逃避してきている。
<マクロ環境の激変期ゆえ広がる企業格差>
実は日本企業のキャッシュフロー創出力は決して低くない。たとえば、大手医薬品企業のエーザイ(4523.T: 株価, ニュース, レポート)が採用している経営指標に「キャッシュインカム」という指標がある。この指標は成長投資、配当支払い、自社株買い、借入返済などに使用可能なキャッシュの総額で、企業の「成長性」「株主還元余力」「財務健全性」を検証する尺度である。これを一般事業会社に適用するにあたっては、次の算式を用いる。
キャッシュインカム=当期純損益+減価償却費+のれん償却費+減損損失
それによると、日本企業(金融を除く東証1部上場企業)は過去15年にわたって景気の良いときも悪いときもキャッシュインカム(対時価総額比率)を安定的に年10―15%も創出している。
一方、過去15年間における日本企業のフリーキャッシュフローを見ると、時価総額比でマイナス2%からプラス5%の領域にあった。ちなみに、「キャッシュインカム」から経常的な投資である「固定資産の取得」を控除してフリーキャッシュフローを求める際には、M&Aや株式公開買い付け(TOB)などによる株式取得は含めなかった。イレギュラーかつ金額が大きく、企業の正常な資金循環が歪められてしまうためだ。
これらの数字から見えてくることは、前述の通り日本企業のキャッシュフロー創出力は高いが、過剰投資によってフリーキャッシュフローは抑制されているということだろう。こうした背景には業界再編の遅れによる重複投資や、研究開発から生産、販売まで全工程を自社で賄おうとする自前主義があるのではないだろうか。
ただし、過去15年にわたり、上位30%の企業は常にフリーキャッシュフローが時価総額比でプラス5%を上回っていた。驚くべきことにリーマンショック後の世界的な景気後退期ですら、そうだった。近年、マクロ環境の変化が激しくなればなるほど、こうした格差は広がる傾向にあり、景気の良いときも悪いときもフリーキャッシュフローを捻出する「マクロ環境に負けない経営力のある会社」とそうでない会社の差は埋め難いほど鮮明になりつつある。
没有评论:
发表评论